業務日誌/竜門勇気
 
え〜、キレイダッタァ〜?』 などと言っているのが聞こえた。
 「おばちゃん」 に気を使われた瞬間に ”物事” は艶を失う。 ”スニーカー” が、 ”ズック” になる。 ”ミュール” が ”ツッカケ” になる。 ”ジュリー” が ”ヒッピー” になるのだ。
砕けた腰で、汗とよだれをたらしながらある若者のひと夏の思い出が黄ばんでいくのを確認すると、俺は立ち上がり身構えた。へとへとではあるがやれないことはない。
これが俺の 菩薩(飛び散った痰を拭き取ろうとするとまた怒鳴る。怒鳴ることによって彼のカルマが浄化されていく。) から授かった唯一の使命であるからだ。
眼前に迫りくるのは

 ”彼女が
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