飼い主/竜門勇気
 
命したのを見計らい、クマカクレミノムシはヒトガラハナシの喉元に食らいつきおよそ一昼夜を費やし体液を吸いだしてしまう。
悲劇はその双方が酷く人間に近い風貌をしていることで中世には教会の命により、見つけ次第どちらも踏み殺されてしまい現在ではその姿を見ることはかなわない。
しかし、昨今になってとある禁書コレクターから提供されたクマカクレミノムシとヒトガラハナシの標本(和名はこれらに着けられていたラテン語の説明から)を分析した結果、二つの種は実は同一の種でありどうやら”とある今も存在する生物”と共通した祖先を持つことが分かった。
伝説によると、ヒトガラハナシは絶命する直前に「Ta-Su-Ke-Te」と悲痛な鳴き声を放つらしい。科学のメスによって再び我々がその声を聞く日は近いのかもしれない。

--日先日報--
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