桃太郎/竜門勇気
すが、これはある種の卵胎生であるといえます。
体内で果実様の胎盤を形成した母体が、甘く栄養価に富んだ果肉に胎児を包み河川に産み落とす(あるいは産み落とした果実に精虫を放つのかもしれません)
やがて浅瀬に乗り上げたそれのなかで十分に育った桃太郎の幼生が産声を上げる。
十分に育った桃太郎は生まれついた本能で上流をめざし(多分六月ごろではないでしょうか)そして、運良く異性に出会った桃太郎が再び子孫を残す。
完璧なシステムです。ただ斯様な栄養に富んだ果肉に覆われていると外敵に襲われる危険は増すことでしょう。
そこでとった形態が旧世界の桃であるというのはある種、中華思想的ではあるかもしれませんが”知恵のある物が手にする実”というモチーフを蹴倒しているのかもしれません。
実に奇遇なことにその実を受け取った最も有名な二人こそがかつて地球上で知恵の実を食したとされる生き物の末裔なのですから。
どっとわらい
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