笛吹き少年の行くえ(2)/Giton
しかも、ふつうの作家が、作品の終局的な完成を目指して、研ぎ澄ますように彫琢して行くのとは、賢治の“推敲”は、およそ異なっているのです。
例えば、いったん完成したものに対して、さらに大幅な推敲──というより、もうほとんど改作といってよいほどの手が加えられる。手を加えたあとで、今度は、さらに手を入れる際には、いったん削除された前のテキストをまた復活したりもする。そのために、削除のしかたも、削除されたテキストが見えるように、一本線で軽く消したりしている。筆記具の色を変えて、どれがどの段階の手入れかが、自分で分かるようにしているフシがある。。。
そればかりか、刊本として自費出版した『春と修羅
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