夜更けの紙相撲 霜月あるいは食物月(おしものづき)/そらの珊瑚
皆芋類が好きだという先入観があって、その言葉が意外だったのでよく覚えている。
いくら美味しいものでも、そればかり食べていたら嫌いになるってよくわかるし、それが戦争にまつわる思い出も蘇らせるものであったら、平和な今、食べたくない気持ちもとてもよくわかる。
中学生の時だった。いっとき、お八つがクルミの缶詰だったことがある。
ほんとかどうか知らないけれど、クルミは健脳食で、それを食べると頭がよくなると母がどこかで聞いてきて、たくさん仕入れてきたのだ。
カリッとローストしてあって、砂糖がまぶしてあったクルミは最初は美味しかった。
それを一ヶ月か、二ヶ月か、はっきり覚えていなけれど、食べ続けて
[次のページ]
前 次 グループ"夜更けの紙相撲"
編 削 Point(15)