夜更けの紙相撲・如月のきんぴら/そらの珊瑚
せず、さりとて短か過ぎもせず、書くことに適切な長さに切り出した「芯」を、創り出すというこの技は、初心者にとって、ものすごく難しい課題だった。
当然のごとく、私の作品は不可であったため、その夜、家で鉛筆を削っていたのは言うまでもない。
けれども私がそうやって一生懸命になった鉛筆は、その先にある「絵を描くこと」その目的のための手段、でしかなかった。
おそらくこの二十年、ほぼ毎日といっていいほど包丁を握ってきたと思うのだが、だからといって熟練にはまだ程遠い。
水を張った銀色のボオルに沈んでゆく、ごぼうの断片。
躊躇なく彼らは、アクを吐き出す。
半円の世界は、うすく色づき、次第に錆色に変色していった。
今日のおかずのひとつである、きんぴらごぼうのための手段、でしかないけれど、それらが美しいと、誰かから「可」をもらったようで嬉しくなる。
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