おひたし慕情/るるりら
はるは ひたひた湧いてくる
はるかかなたの 地殻の置くから
ひたひたひた
毛細血管を駆け上り
地上にある草木という草木のすみずみまで
ひたひたひた
田んぼのはずれで菜の花が咲いたよ
人が「おひたしにでもしようか」とかつぶやいて
刈り取られて放置された菜の花が 咲いたよ
人のすることは哀れだね
根っこを刈り取られているというのに
まるで気にせず
花を太陽の方に向きなおして
咲いているよ
すみずみまで すみわたる
嗚呼、
いのちの大海原
菜の花の ほとばしり
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