コーヒーを教えてくれた ──《コーヒー・アンソロジー》参加/Giton
 
きみが教えてくれた黒褐色のたしなみ
変な色のお湯、アルコールよりも腹にもたれる毒液
それなのに好きな人が褥でまどろんでいる朱(あけ)の刻、コーヒーを煮立てるのが習慣になると
この見馴れぬ飲料が自分の一部になったと思うからふしぎだ

見たことのない海の向こうから漂う舶来の香り
どんな密林のはずれで、どんな人間たちが
どんななりをして収穫し、運んで来るのだろう
ともかくその香りできみは目覚め、六枚切りの食パンを2枚焼く

小麦色にやけたパンには決して何もつけず
ただそれを齧りながらコーヒーを飲むきみの
ほおに浮かぶ木漏れ陽のような微笑がぼくは好きだ

一日に一秒でも雲から日
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