野良猫あるいはルンペン(全)/……とある蛙
 
岬の突端にある一本杉
その根元には猫の額ほどの草原が
崖下に望める港町は
なだらかな坂のある町で
火の見櫓以外高い建物もなく
斜面にへばりついた小さな
小さな灰色の箱の集落

漁船が停泊している。
船着場には漁船以外何もなく
漁師町であることが
瞬時に分かる

猫の家族
母猫と三匹の子猫
眼もよく見えない子猫たち
その家族を狙う鴉
ミューミュー鳴く三つの口

草むらに潜む蛙を見つけ
子猫は狩りをしようと
低い姿勢で獲物に狙いを付け
尻尾でリズムを取り
間合いを計っている。

その上空に鴉
飛びつこうとした週間
鴉ではなく鳶が子猫を突く(つつく)
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