情事/
はるな
求をみたしたらいいだろう。わたしの欲求はいったいどういったものだったのだろう。情事なら交わすものではない。それは避けられず、ただそこにあるのだ。欲求とはむしろ関係ないものとして。いっそ暴力にも似たものとして。わたしは自分がいまからからに渇いていると思う。きっと渇いたままだろう。潤う必要を感じないから。たとえいっときの情事がわたしを濡らすとしても、そのすぐあとで一層渇くだけだということも知っているし。
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