【批評祭参加作品】「へんてこな作家」という親愛の情/石川敬大
れる、家族でもある人という生き物の、日常における変身ぶりだったのだ。
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「カフカが二十世紀文学に欠かせない一人になったのは長篇小説によってである」と、池内は書く。しかも、書かれた「三篇とも未完であって」、「いのちを削るようにして長篇に取り組んだのに、高揚が終わったあとは冷淡だった。かりに邦訳の頁数でいうと、『失踪者』は三百三十五頁で、そのうち発表したのは第一章にあたる三十九頁だけ。『審判』は三百十九頁。発表したのは、このうちの二頁分。小さなエピソードを小品として短篇集に入れた。『城』は全四百二十七頁。すべてノートのままにとどまり、そっくり焼却を申し渡されていた」
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