原風景4/日雇いくん◆hiyatQ6h0c
けらもない見事な立ち振る舞いを思い出すと、怒りは増幅され続けた。もともと気が長い方ではないので、そのせいで愚行を繰り返して損ばかりしてきた。そのことを踏まえて自制を心がけつつ、しかるべき対応とはどういうものか、まずは調べものにとりかかったというわけだった。
と同時に、生きるべく要領を身に備えることで、権藤とたいして変わらないような人間像に、必然として少なからず近づいてしまわざるを得ないだろうと思わされることがまた不愉快でたまらなかった。
いずれにしても、この怒りが消える要素が新たに加わるような気配は、しばらくは、どうもないようだった。
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