原風景11/日雇いくん◆hiyatQ6h0c
 
うかと一瞬思ったが、館の、元の躯体から少しそこだけ外へ出っ張った状態になっている入口をみると、その口の自動ドアと、すぐ奥にある館内へとつながる自動ドアとの間の横の方に、喫煙所があることに気づいたので、館内に入る前に少しそこで落ち着くことにした。
 喫煙所の灰皿のそばにある木製の、背もたれの無いベンチに座り、とりあえず一口吸った。
 外と中をつなぐ出っ張りの入り口はいくぶん広めに取られていて、喫煙所と反対側の方にあるスペースには区か都かのパンフレットがたくさん入った棚が置かれている。
 それを何気なく見ながら煙を吐き出すと、気持ちぶん息が苦しかった。
 ゆっくり歩いているように思っていてもど
[次のページ]
  グループ"原風景"
   Point(2)