朝のこと/はるな
 
、そのせいじゃないかしら。

しばらくすると小学生のむれが庭先をとおっていく。黄色い帽子をかぶせられて、箱のように滑稽なランドセルを背負わされて。一列で。蛇行しながら。わたしにはその時分の記憶があまりないけれど、いまのこどもたちの顔をみたって特別たのしそうだとはおもわない。放心したような、張りつめたような、でもこれから何かあるような顔。うすい皮膚のしたの血の巡りをみながら、わたしは不思議に思う。このひとたちはこれからおとなになるひとたちなのだなあと。
ひとり、ちいさな女の子が花をほめてくれた。
彼女はうすい水色の半そでをきて、黄色いベレー帽をかぶっていた。他の子とはちがう帽子。転校生?「お花きれいです。」そう言ってくれた。少し列からはみ出て、かつ遅れて。ありがとうと言ったけれどあまり聞こえていなかったかもしれない。もっと大きな声でありがとうと言えばよかった。


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