夏のこと/はるな
 
うとあのころに帰ってしまう。
冬ならかんたんだった。寒くて、花は枯れて、人々はちぢんで部屋に閉じこもって、日は弱くなって、わたしは絶望すればよかった。堂々と、部屋のなかで、ひとりで。でも夏はちがった。あつくって、明るくて、人々は陽気で、肌をさらけて、いろいろな場所で笑っていて。窓からそれがみえた。でもあまりに遠くてあかるいので、どうやって参加すればいいのかわからなかった。だから絵を描いた、関係ないふりをした、自分と夏とは関係ないふりをした。夏にはわたしは冬よりももっと深刻な孤立のなかにいたかもしれない。

いまや、わたしは大人になって、ひとりでプールに行くこともできる。笑うためだけでなく、自
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