海のこと/はるな
 
してくれる誰かをまっている子たち。でも、たとえばわたしに恋人がいなかったとして、ああいうふうに自分から、その「誰か」を探しにこれただろうか。海辺の子たちを遠く感じるのはたぶんそのせいだと思う。


こいびとと、小さな旅行をいくつかしたことがあるけれど、今回もふくめて一番すきなのは移動だ。わたしたちはレンタカーで移動する。だいたいは恋人が運転して、ごくたまにわたしがハンドルを握る。わたしは助手席で、恋人の横顔と、その向こうにある景色をみる。景色が、どんどんかわっていく。でもわたしたちはここにいて、一緒にいる。その安心をたしかめるのがすきなんだとおもう。遠くにきて、でもひとりじゃないってこと。そうして、その「遠く」からまた戻る場所があるわたしたちのこと。日常に守られていることをありありと感じる、わたしたちの小さな旅行。
   グループ"日々のこと"
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