ライブのこと/はるな
 
たしのときだけ、鍵盤が拒否するように重力を増しているのだと思っていた。

音楽を好きになったのは、ここ何年かだ。
わたしはそれを、ライブハウスで知った。
うすぎたなくて、音のばかでかい、アルコールとたばこの煙でべたべたしたフロアで。まばらに踊るひとびとは、不揃いのステップで、誰も誰かを気にしてなんていなかった。みんな体に入るぶんだけ音楽をいれて、そこに乗るぶんだけ体を揺らして。
そのとき、わたしのからだにも音楽が入ってきた。
「音楽が入ってくる」という感覚をはじめて知った。ピアノの先生に何回となく言われたことを、はじめて体で知った。そうして、それが言葉で感じようったってとても不可能だっ
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