桃のこと/はるな
果物はみな少なからず官能的だと思うのだけれど、桃なんてその最たるものだ。たたずまいや、匂いや、舌触りや、もちろん味も。
桃の皮を剥くのって、肌を剥くのとも似ている。薄皮を剥がす感じ。熟れた桃の、するすると剥ける皮の従順さ。
わたしは、女性だけれど、女性も愛することができるから、桃を食べるときにかんじる官能は女性を抱くときのそれに近い。皮に頬ずりすると、ちくちくと痛いのを知っていた?あんなにうすく、透けるように見えるのに。それもまるで、女の子と似通っている。
女性は、たとえ女の子でも、女が何かをほとんど知っているけれど、男の子ってそうじゃない。男(男性も、男の子も含んだ「男」)につ
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