彼とのこと/はるな
は欲張って手に入れてきたし、好きなものへすきだと言うことを美徳のようにして生きてきた。うれしければどんな場所でも飛びついてそう言ったし、悲しければどんな場面でも思うさま泣いた。理不尽だと思えばどんなに恋愛が盛り上がっていても連絡を切ることができたし、たとえ迷惑だと言われてもそうしたければ無理にでも押しかけたことがあった。でもなぜだろう。なぜ会いたいということもままならないのか。髪の毛の長さひとつもかえることのできない女になってしまったのだろうか。
今まで自分が、つまらない、愚鈍な、なりたくもないとおもっていたような女に、なぜいまわたしがなってしまっているのだろう。
なんでもないような顔をし
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