影のこと/はるな
 
、影のところの子のはうまく根が出なかった、園庭の裏(小学校と隣接していたのでつまりそれは校庭の裏でもあった)にどくだみが一杯に茂っていたこと、卵のパックで工作をした、朝顔でつくる色水とか、桑の実や木苺のある「ひみつのところ」、上履きのすりきれるところがいつも同じだったこと、「秘密ね」と打ち明けられる数々の公然、背が低いから、大きいほうの鉄棒にいつまでも手が届かなかった。でもそこにいたわたしより、いまは娘のほうがきっと近い場所にいるのだ。
それはちょっと愕然とする発見だ。
わたしはいまどこにいるんだろう。

家から出たいと思ったことはあんまりなかった。結婚して夫と暮らすようになっても、さいし
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