純白恋夢 ‐?‐/愛心
 
ないで、姫君。
もしも僕がこんな体でなければ。
彼女の涙を拭ってあげられるのに。

もしも僕がこんな体でなければ。
彼女に声をかけてあげられるのに。

もしも僕がこんな体でなければ。
姫君を連れて、二人で外の世界へ翔んで行けるのに。

嗚呼、嗚呼、嗚呼、なんて無力なんだろう。

せめてもの慰めに、彼女の涙を口に含めば、しょっぱい熱が喉を滑り落ちた。
苦くて、不味くて。咥内が、喉が、腹が、焼けるように痛む。

これが、彼女の傷(いた)みか。

少しでもいい。僕に分けて欲しい。
主としてではなく、姫君を、貴女を。

愛してるから。


  グループ"純白恋夢"
   Point(2)