交錯詩 「お酒」 長谷川忍 鵜飼千代子/鵜飼千代子
 
奇数行 長谷川忍
偶数行 鵜飼千代子


時々は嬉しいこともあって
蛇の目に注ぎのぼる酒を見遣ると
それでお酒を呑む
波立つおもてにやがて 習ったように同心円が現れる
いつの間にか
甲斐甲斐しく取り分けられた肴を見つめ
こっちに来ている
先を越されたとくすりと笑う
日本酒でも
「どうぞ」と手を添え酒を酌む
ウイスキーでも
時計の針がゆっくり ゆっくりと 進んでいく
ズブロッカでもよい
とつとつと話をしながらだまりこむ
なぜだか望んでは決して来られない
思考のゆとりを持ちながら
そんな不思議なこっち
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