批評祭参加作品■回り道、つぶやく。 ??五十嵐倫子『空に咲く』について/岡部淳太郎
 
 人の心の動きというものは不可思議だ。大抵の場合、人は首尾一貫して考えているのではない。ぼんやりとほとんど何も考えていないこともあれば、何かについて一途に思いを巡らそうとしても、眼に映るもの、耳に聞こえるものに惑わされて思考が中断してしまうこともある。あるいは自分の身体の状態が思考の邪魔をすることもある。空腹であれば食事のことを考えるし、考えごとをしながら歩いていても、たとえば石につまずいて転べば、痛みが思考に取って代わってしまうだろう。五感によって外から取り入れた情報を、脳は瞬時に処理しなければならない。内部での思考よりも外部から来る情報の方が、脳にとっての優先順位が高いからだとも言える。そんな
[次のページ]
   グループ"第3回批評祭参加作品"
   Point(3)