批評祭参加作品■吉野弘氏への手紙/服部 剛
 
 今僕は、ショパンの曲を聴きながら、以前古本屋で手
に取った「吉野弘詩集」を開いています。薄く赤茶けた
表紙の中心には太陽らしきもののデッサンが描かれてい
ます。なにげない日常の場面を描いた「夕焼け」という
詩は、だいぶ前に初めて読んだ時から印象に残り、その
詩情はいつまでも心から消えることなく生き続けるのは
何故だろうと問いながら、僕はふたたびこの名詩を読も
うとしています。 



いつものことだが 
電車は満員だった。 
そして 
いつものことだが 
若者と娘が腰をおろし
としよりが立っていた。
うつむいていた娘が立って 
としより
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   グループ"第3回批評祭参加作品"
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