霧の様な死あるいはナルシシズムについて/立原道造を読む/渡邉建志
らう!
私の飢ゑは しかし あれに
たどりつくことは出来ない
私の心は もつとさびしく ふるへてゐる
私のおかした あやまちと いつはりのために
おだやかな獣の瞳に うつつた
空の色を 見るがいい!
〈私には 何が ある?
〈私には 何が ある?
ああ さびしい足拍子を踏んで
山羊は しづかに 草を 食べてゐる
これが一番好きです。一聯目の、さびしい足拍子を踏んで草を食む山羊の姿といったら!さびしい足拍子、ですよ。そして瞳には空・・・ちょっと倒れそうになりました。のぼせたのかもしれないけれど。
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