雨あがりのしづかな風がそよいでゐた あのとき 叢は露の雫にまだ濡れて 蜘蛛の念珠も光つてゐた 東の空には ゆるやかな虹がかかつてゐた 僕らはだまつて立つてゐた 黙つて! ああ何もかもあのままだ おまへはそのとき 僕を見上げてゐた 僕には何もすることがなかつたから (僕はおまへを愛してゐたのに) (おまへは僕を愛してゐたのに) また風が吹いてゐる また雲がながれてゐる 明るい青い暑い空に 何のかは [次のページ] 前 次 グループ"フレージストのための音楽" 編 削 Point(13)