生前と死後のあいだで/小林レント讃3/渡邉建志
ょわらっているのだけれど、苔という装置を通じて、実は泣いているのだという、実に地蔵っぽい(笑)所作を示すのである。この苔という装置が奇跡的にうまく使われていて、そもそもさいしょは「髪の毛のように」と言うのである。レント的5,7のリズムに乗りながら、歌うように、苔が生えている、が繰り返され、実はその苔は「涙のよう」に見えているのである。たまらない。
5.
滝は
いつからか
滝ではなくなった
水は
滝になるのを嫌がった
ので
滝は
ある日の朝
崖をのぼっていく水へと
変わっていた
そして
その日から
その水たちは
笑い始め
笑いつづけた
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