浸透と破水/キキ氏の作品について/渡邉建志
。うまく理由がいえないけれど、こういうことばはきれいだなあとなんとなくおもう。「ので+くべてしまう」の背景にある順接の論理がまったく汲み取れなくて、でもまったく不条理でもなくて。そのへんの人間の衝動というか欲望というか無意識での行動というか、を、ふとあらわしていていいなとおもう(なんだかよくわからないけれど、とにかく揺れるからくべてしまったんだね!というかんじで…「しまう」も効いてくるわけです。「あんまり」も効いています。)。
爪や骨や眼球や背びれや細胞や、キキさん世界というか、からだコンシャスなことばたちがここにもあふれていて、なるほどと思う。それがひとつのカラーをつくるひとつの要因になっているようだ。好きな単語たちなのかなあとおもう。好きな言葉をおもちゃ箱のように、詩にすることが出来るなら、それはとても幸せなことだなあとおもう。みんな自然にそうしてるのかもしれないし、キキさんはとくにそうしているのかもしれないし、あるいはぜんぜん違うのかもしれない。
2005/8/7, 10/6; 10/14改稿
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