尾崎喜八「山の絵本」を読む/渡邉建志
支配とリトムの駆使、壮麗で魁偉で宇宙的な構成などの点から見て、バッハ、ヘンデル、モーツァルト、ベートーフェンの四人の音楽ほど大山岳とか、海洋とか、更にまた星辰天とかいうようなものを想わせる圧倒的な、本源的な、霊的な音楽はない。それはむしろ造山、造大陸、造大洋などの造構運動(テクトゲネーゼ)の観念に結びつければつけられるのだが、そんなことをしてみたところで別に何の説明にもならない。しかし彼らは、たとえば音楽的宇宙における、それぞれの銀河系である。
音楽をこれだけいろんな言葉で説明しようとするとはがんばったなあ喜八さん、というか、日本語ってすごい!という単純バカな感想をもって筆を措きます。
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