尾崎喜八「山の絵本」を読む/渡邉建志
 
辞書を開くと、「[女][文章](宗教的)至福; 喜び、幸福」とあります。ああ、生きることは何と善いか!という言葉を、我々は人生の中で何度吐けるというのでしょう。それはやはり自然に囲まれてこそのものなのでしょうか。甲斐の国は素晴らしいですね。どれぐらい幸せかというと、敵であった死者と和解するぐらいだというのですが、そんなことより、生きている敵と和解したらどうでしょうか。

詩人は詩興を得るために山を歩くのだが、その土地で汗まみれに働く人たちの前に、恥ずかしさも感じるのである。そのシーンは興味深い。彼はここでモーリス・ヴラマンクhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83
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