ALICE‐不思議ともう一つの国‐/愛心
返して
あたしは鏡に飛び込んだ
途中でミルクの替わりに
涙を紅茶に淹れてる一団に出逢う
『どうしたの?』
『ウサギを助けてあげて』
顎鬚を生やした三月ウサギは
しょっぱい紅茶を飲み干して
『彼は』
若い帽子屋は
涙で丸くなった角砂糖を口に含み
『独りぼっちなんだ』
どす黒い隈を作った
眠りネズミが呟いた
『ずっと 君を』
三人が懇願するように言った
『アリスを 待ってるんだ』
あたしは涙の霧に耐え切れず
すすり泣く三人から離れ
金時計の音 頼りに
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