「雌」/長谷川智子
 
―幾年も思い浮かべる蓮の根を身篭りたいの貴方のだから 
「ランティルディ」を纏う真夜中 
ひねた顔した満月 
薄汚れた監視カメラに写るほのかな人影 
部屋の中でキー置く音が響く 
すかさず口にもってく煙草 
それをゆるりと遠のけ口を塞ぐ 
噛んで含めるアレ 
触って吸えるコレ 
からだのすみずみが艶めく煌めく 
体のなかの稜線が溶ける感覚 
そこまできてる 
しまりのない寝顔を見るたび 
こいつので身篭りたい 
とみに想う 
その頭を抱きながら 
まことに無責任な劣情でメルト 
やっぱあたしくるくるぱーだ 
懲りてないや 
愛なんてどこにあるんだかわかんない 
けどこの子は可愛い 
だれにも渡したくないくらいに 
(相手がうたたねさんなら良かったと思う午前3時) 
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