不在/伊月りさ
 
現在に繋ぎとまる
欲望のない
わたしの摂取と排泄は
なにのためだ
なにもすることがないのだ
なにもしたいことがないのだ
時間を喰らう、なんて
言えるものか
そんな唾液はありません

目の前をくねる有機物は口腔に突入後
嚥下、消化、排出。
吸収を知らないのだ
デジタル時計に秒針がないように
雀にプロペラがないように
ここにわたしはない
そのくせ、蠅を叩き殺し
破壊とひき換えに繋がりを得ようとする
この掌が蠅叩きならば

溶いた紅にひたし瞬間を愉しむ
青年期の赤ペン自傷に似ている
痛みのない生存を弄っている
わたしはここにない
「無事じゃなくてもいい」
そんな必死も受け取れません
   グループ"落下光"
   Point(3)