粧飾/伊月りさ
ひとつの自信がわたしを暴く
押し出す日中に
無防備な顔は灼かれていて
爛れたままで外出をする
十月の風が痛みを冷ます
脱いでいる
わたしの鱗粉が付着しなくとも
きみは変わらず胸を張り
直行はこの背中を貫いて
未来を撫でている
その感触をわたしは
知りたいのならば
指先の粘着物をそろそろ諦めろよ
と
縋りつくように身につけた社会性の
釦を引きちぎった
きみの愉悦に安心をする
わたしは
数え切れないほどの枷を
引きちぎった
破片は残らず統合されてしまって
わたしは静かに拘束されて
いるけれど
侵入を許したのではなく
妨害を怠っているだけなので
そんな支配は滑稽です
そんな思惑に関節を外して罠を抜ける
今朝も
解放された両手は器用に
もうひとりのわたしを
つくる
指のサイズを気にし始めた
遠くのきみが愛おしい
ような
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