時代劇と処方箋 / 印籠には薬が入っている?/beebee
薬を整理するだけで大変だぞ、と言う
手には赤や黄色、白色の
錠剤が20個ほどばらばらあって
手で握っている
色々分けて、朝昼晩の3回分にする
それを毎日毎朝忘れないように順番に置いていく
一日飲み終わると無くなる
それまで飲み残すんじゃないかと心配やぞ、と言う
そりゃ心臓やら、肝臓やら、膵臓やら、
年取ってがたが来たからな
みんな薬をくれるから
いっぱい飲まなきゃならん大変やぞ、と言う
父はもうテレビの時代劇の方へ
顔を向け
座った足を掛布の内に入れている
戦時中の怪我で足首が腫れて歩けないのだ
うんうんと首を振ってテレビを見ている
こいつ悪い奴なんや
早くやっつけないかん
悪代官が父の方を向いて薄ら笑いを上げた
こいつ悪い奴なんやと言う
はは
もうテレビしかないからなあ
父は照れ笑いをして僕の方へ向き直った
お母さんお茶くれよ
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