缶蹴り/beebee
 
には苔むした地面の上しかない
塀のつっかいを駆け上がって登り
せっかくいい位置に付いたのに返って動けなくなった
お寺の兄ちゃんは妹に何かを話しかけるとふいに
植え込みの後ろを確認しに走った
場面が急展開しみんな一斉に走りだす
お寺の兄ちゃんは向かってくる重安ちゃんの腕をひっかけ
一回大きく振り回した後缶にかけ戻る
大きな声でみんなの名前を呼び上げながら缶へ足を伸ばした
その時おれが宙を飛んだ
誰かが期待して声を上げる
格好よく着地するつもりだったが土を滑ってしりもちを着いた
やっぱりお寺の兄ちゃんは缶を足で抑えて仁王立ちしていた
ちくしょうと重安ちゃんが大声を出す
お寺の兄ちゃんの妹がにっこり笑った
次は重安やぞ
よっしゃーってみんなが散って行った
缶蹴るぞー
黒々とした神社の屋根の影が足元にあった


*隣の重安ちゃん=幼なじみ


  グループ"散文詩"
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