★58 コドクノウミ/貴水 水海
君の部屋は僕には新鮮だった
君にとっては退屈な場所でも
君は誰かを失ってから
長い間
この部屋で待ち続けたんだろう
僕も君も
溶け合うように抱き合いたいと
いつも思っていた
抱き合うことは喜びだったけど
僕は君の体をすり抜けてしまったね
僕が君に優しくするほど
君は孤独の海へ追いやられた
はじめは
大きな喜びがあったのに
いつのまにか
小さな喜びも
見出せなくなったんだね
期待と諦めを繰り返して
僕も君も孤独を選んでしまった
今の僕を撃ち抜くのは
孤独だけだよ
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