■批評祭参加作品■ アンファンス・フィニ/和泉 輪
好きで好きでどうしようもない詩がある。教科書で偶然その詩を見つけた、詩のことなど何も分からない当時十二歳の少年を一発で虜にするような詩だ。中学校の国語の教科書に載るような詩だから、当然 難解な詩句などは使われていない。いや、むしろ難解な詩句などこの柔らかく美しい抒情を妨げるだけだ。
{引用=「Enfance finie」 過ぎ去った少年時代 三好達治
海の遠くに島が・・・・、雨に椿の花が墜ちた。鳥籠に春が、春が鳥のゐない鳥籠に。
約束はみんな壊れたね。
海には雲が、ね、雲には地球が、映つてゐるね。
空には階段があるね。
今日記憶の旗が落ちて、大
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