「 反射熱 」 〜創刊に寄せて〜/服部 剛
 
ましろい表紙の中心に
産み落とされた
原石の塊
見えない核に宿る(詩)に結ばれ
六つの方角へと 
自らの背を伸ばそうとしている   

( 遠天の夜空に燃える太陽 
( あるいは明け方の空に浮かぶ薄い三日月 

遥かな空から届く光を 
自らの体に写し 
お互いの色を反射する 
六つの原石 

その周囲にひろがる
六色の仄(ほの)かな光は 
遠い闇にともる灯(ひ)のように
日常の旅に疲れて歩く
あなたの名を呼ぶだろう 


「反射熱」
と記された表紙をめくるあなたが
頁のなかを歩む旅人となる時 

(詩)という結晶となり 
一冊の本に封じ込められた 
六つの原石は輝き始め 

それぞれの情景のなかへ 
あなたを招くだろう 


( 瞳を閉じて立ち止まる
( あなたの前に 
( 新たな視界は開け
( 澄ました耳に 
( 風の言葉を聴くだろう






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