雪、だから/海月
 
指先一つ離れた場所に君は座り
神経(きもち)を集中させれば触れる 
だけど、心の中で触れる事を恐れている 
一つになれば「いいこと」も「わるいこと」も同じに感じてしまい
お互いの心の中が見透かされて
君に優しい嘘も吐(つ)けない 
天気予報では今日の夜から雪なる 
君は子供みたいにハシャイデいるね 
君の楽しみを奪い去るかの様な午後の晴天 
君は空気を失くした風船みたいに萎んでいるね 
「夕食は僕が作るから」と気休めしか云えない 
得意料理がある訳でもなく、上手に作れる訳でもない。 
だけど、君の為に何かできる事があるのなら 
それをやるしかないと
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