プレゼント/キメラ
 

当時家はとても貧しかった。
父は私が産まれてすぐ他界した…
女手ひとつ‥母は地獄を観た。

思い出す‥
あれはクリスマス時期だった…
夕食の買い物、幼い兄弟の手を引き近くのスーパーに出かけた。
向かう途中に母は「クリスマスに何が欲しい?」と二人に訪ねた。
兄は「何もいらない…」と答えた。弟は「ウルトラマンの人形♪」と答えた。
帰り道オモチャ屋の前を通り、そこには、ウルトラマンの手袋のような人形が飾られていた。
「あれが欲しいの?」弟は頷いた。「いいよ!クリスマスにプレゼントしてあげるね」母は優しく笑った…

普段は遅くまで残業をして帰ってくる母だが、あの日は早く帰ってき
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