舞踏/三条麗菜
 

人間という自然物は
あまりに複雑過ぎて
そこにはきっと何の精霊も
宿らないことでしょう

私は終わりなき音楽に合わせ
いつまでも踊りましょう
それ以外はもう何も
いらないのです

複雑な心を脱ぎ捨て
肉体を脱ぎ捨て
風に鳴る骨だけとなって
踊り続けるのです

精霊に近づくために
私を囲む精霊達と
手に手を取り合って
再び生きるために

今が分からなくなるほど
想い続けた夜のこと
私の中で舞踏曲が
鳴り続けます

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