お父さんの悲しさ/ネコ助
 

みぞれを吐き尽くした後の
灰色の空の中に、
ちょうど私のところから見れば
長い長い神経を延ばすように、
裸の立木は立っている。

春の日はまだ遠いその空の中。
私には
ガサガサの手をした男が、
冷たく暗い海の中で、
藁にもすがるようなイメージがある。

冷たいコンクリートのベンチに座り、
私はそいつを笑うように
タバコの煙を吹きかけた。

悲しい・・・なにか足りない・・・
仕事も、家庭もありながら
ふと、バチェラーへの夢を追いかける。


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