『救いの雨(巣食いの雨)』/しろいぬ
 
ザアアアァあぁぁあぁぁぁぁッ!……。

 雨。

 重たい雨。

 思たい、雨。

 信じられないほどの質量を持った雨粒が、ぼくの肩にのしかかる。

 嫌悪も、冷たさも、もう、感じない。

 そんなものはとっくの昔に。いや、この世に投げ出された瞬間からか。とにかく、マヒしている。

 これだけずぶ濡れてしまえば、今更防いだって意味はない。それに、ぼくはそんな事で苦痛を感じるような上等な神経、元々持ち合わせちゃいないし。

「本当今更だよな…」

 雨粒は二次関数のグラフみたいにその量を増し、ぼくをさらに強く、さらに冷たく叩く。

 いくら
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