’06 12/22 18:30 @ Machida 〜クリスマス前の夜に・1〜 /服部 剛
 
中央図書館を出ると 
すでにとっぷり陽は暮れて 
人々が行き交う広場の真ん中には 
イルミネーションのまばらなさえないクリスマスツリーが 
それ以上でもそれ以下でもない素朴さで風に揺れていた 

クリスマス前の金曜の夜 18時30分 
一週間の仕事を終えた人々が 
煉瓦通りの両脇に並ぶ店から
ひとりふたりと出てきては 
今夜も絶えることのない 
人波の川が流れ始める 

通り過ぎる人々に声をかけ 
宣伝ティッシュを笑顔で配る 
サンタの帽子の女の子 

この街では金さえあれば 
白くはだけた胸に溺れることもできよう 

美しい女に指一本ふれることなく 

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