夢にみた女/結城 森士
が黒い灰に包まれている
夢を見たもので
其処で女はまた俺を睨んでいた
鋭く儚い視線は俺を通り越して
次第に女は透明になって
消えていった
もちろん俺の事など
最初から見ていなかった
(あの女は煙の様に
頼りなく揺れている、
黒くて透明な
虚像の)
川には廃墟の影が映っていて
もう手を洗う気にはなれない
だから俺は揺れることのない
一本の錆びた鉄の棒のように
立っていよう、ずっと
・
黒い太陽が街並みの影を燃やしている
黒い炎で街中が燃えている
俺の影は揺ら揺らと揺れているだろう
煙と灰が舞っているのだろう
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