カリン樹/
キメラ
それは只の憧れ
ひとつの夜の幻覚か
理想
思念することにより
創りあげられた
霧氷の幻人
緑の綺麗な茶碗に
お前が
今宵吸い込む
真実を集めよう
それは或いは悲しみ
蒼よりも深く
言葉を与え
やがて存在は
浮かび上がり
七色の歪んだ古木
森深き鳥居をくぐる
後ろから
ついてきたのは
誰だっただろう
振りかえると
そこは
怖い暗帳と
わたしの
心の鏡
見ていたんだね
緩やかで玲々しい
この寂路にも
こんなに八月に生きて燃えて灰になった
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