道/ネコ助
 
私は時おり
人生を振り返る。
長い時間であったはずの今までを、
頭の中で、
記憶のカードをめくるよう、
一瞬に。

そして、
開かれた時空の闇に
吸い込まれ消えて行く。

時間という永遠の流れに、
木の葉が舞い落ちるように
ある日
忽然と乗り始めて、
日々安穏と暮らす間に
ここまで来てしまった。

遠い時空から、
それを眺めていると、
この私にも
確かに道がある。
人生の軌跡がある。

木の葉のごとく舞う
名もない蝶にも、
この広い空間に
道があると聞く。

木の葉のような
私の存在にも、
あの蝶のように
定められた道があるのだろうか。

私は遠い時空から、
それを観ている。


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