繊細な耳/
ユメアト
水底に溜まった泥に眠る
虫の鼓動さえ聞こえるなら
蔓草の綱渡りをする
月の足音だって
するりと
耳に忍び込む
彼らのねっとりとしている涙は
さみしさで飽和してしまったせいだ
(それは決してきみのせいなんかじゃないのに)
融けきれなかったさみしさは
言葉に紡がれて
繊細な耳にねじ込まれる
透明な血が耳朶に滴る音すらも
繊細な耳は黙って聞いている
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