たましいの葉 /服部 剛
 
見上げると 
ひらひらと北風に舞う 
たましいのかたちをした 
まあるい葉が一枚
落ちてきた 

煉瓦(れんが)の椅子(いす)に座ったぼくは 
腰をかがめてそれを拾うと 
手のひらにのせた葉は 
ほんのり紅く染まっていた 

葉の中心には 
幹の如(ごと)きひとすじの芯(しん)と 
無数に枝分かれする細い葉脈 

( 一枚の葉のなかに 
( 一本のゆるぎない木が立っていた 

見上げると 
ほんのり紅い無数の葉は 
ひらひらと北風に吹かれながら 
ひそかな唄を
奏でていた 


煉瓦の椅子に座ったぼくは 
ひとすじの芯が通った
まあるい葉を一枚
ポケットに入れ 
荷物を背負い 
腰を上げた













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